第七章



「みん、な……?」

ルーティはゆっくりとその場で辺りを見回す。誰も、ルーティの声に応えようとせず、ただ、不気味な笑みを浮かべていて。

「おにぃ!」

ピチカも同じく、スピカの隣でファルコにより、片手で両腕を後ろに捕らえられていた。ルーティはゆっくりと顔を向けて。


パンッ


乾いた音が鳴り響く。

ルーティは大きく目を見開いて。やがて、頬に一線の赤い色が滲み、鮮血が頬を伝う。――撃たれたのだと、確信した。

「……ぇ」

遅れて、小さく声を洩らす。

拳銃を構えたのはファルコで、にやりと口角を吊り上げた。ピチカはもがきながら。

「おにぃ! 違うのっ、これは」


――分かってるよ。


この大ホールに足を踏み入れた途端、襲ったとてつもない違和感。改めて見回してみて、その違和感は悲しくも解消される。


皆じゃない。

僕の知ってる、皆じゃないんだ。
 
 
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