第六章



「何だか落ち着かないみたい」
「あ……」

その時、ルーティの瞳が不安げに揺れた。

「……う、ん」

正面に向き直り、俯く。残らず照明が落ちてることに不安を煽られているのだと気付いて、リムは優しく微笑みながら。

「大丈夫よ。彼らなら」


パキッ


ルーティのブーツが何かを踏んだ。

思わず立ち止まり、目を凝らす。落ちていたのは硝子の破片で、ルーティはゆっくりと顔を上げる。――そこは。


元々、照明があった場所。


「ルーティ!?」

不安が募る。心臓が爆発しそうだ。

突然駆け出すルーティに、リムは思わず名前を呼んで。何がどうしたと顔を見合わせる四人に、クレイジーは目を細める。

「やっぱり」

ぽつり、と呟いて。

「間に合わなかったみたいだよ。兄さん」
 
 
53/54ページ
スキ