第六章
何でだろう。心臓が五月蝿い。
「――そういやぁ」
まずはフォックス達を探すべく、廊下を歩いていたその時。ネロが話を切り出して。
「何でマスターを置いてきたんだよ」
「僕じゃ不満ってわけ?」
クレイジーは落ち着かず、早足で先を歩くルーティの後ろを歩きながら、ネロを横目で睨み付けて。ネロは目を逸らし。
「……あそこにはタブーもいる」
クレイジーは溜め息。正面に向き直る。
「置いていくわけにはいかない。回復すれば戦力になるし、莫大な力を制御して上手く戦わせることが出来るのは兄さんだけ」
ネロはそれとなく理解が出来たようだったが、興味ない風に「ふーん」とだけ返して。と、リムがルーティの隣に駆け寄り。
「ねえ、どうしたの?」
ぽんと肩を叩いてみる。
ルーティはぼうっとしていたのか、「へっ?」と目を丸くし、リムを見つめて。