第六章



ルーティは辺りを見回して。

「分かるだろ? 自分らの拠点くらい」

クレイジーはルーティの隣にゆっくりと降り立つと、左手を腰に添えて見つめ。

――間違いなく、ここはエックス邸だ。

しかし、違和感を感じる。こんなことを言うのも何だが、帰ってくればフォックスかピチカが出迎えると思っていた。

それに、何で電気が消えてるんだろう。

「……静かね」

リムはぽつりと呟いて。

確かに、普段嫌になるくらい何処も騒がしいのだから、不自然かもしれない。

でも、そうじゃなくて。もっと違う。


――違和感。


「どうでもいいけどさ」

クレイジーはホールの天井に飾り付けられたシャンデリアを見上げて。

「節電でもしてんの?」

何だか拍子抜けする質問だ。

「そういうわけじゃないはずだけど」
「っそ。だったら辞めといた方がいいよ」

クレイジーはルーティを振り返って。

「暗闇は」
 
 
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