第一章
「っお前!」
行く手を遮ったのは、先程までスピカの手を引いて走っていたダークマルス。
すると、ダークマルスは無表情のままおもむろに鞘から剣を引き抜いて。
「……まさか……」
赤黒い瞳がじっと此方を見つめている。
小さく声を洩らして後退するも遅く、ダークマルスはニヤリと歯を見せて怪しく笑うと、剣を腰に添えて構え、突進。
「ぐっ!」
腹に剣が突き刺さり、スピカはダークマルスに押されるがまま壁に背中を預けて。
「やめっ」
静止の声を上げようとするも、ダークマルスは剣を引き抜いたかと思えば、次は胸に突き刺して。またも引き抜き、ダークマルスは狂った笑い声を上げながら。
「死んじゃえ……! 死んじゃえ……!」
何度も、何度も剣で突き刺す。
やがて衣服は血塗れになり、スピカはがくがくと震えながら吐血。ダークミュウツーに首を絞められていくダークファルコを視界に捉え、目尻に涙を浮かべながら。
「や……っ……ぁ……あ……」
掠れた声で。
「もう……っも……う……やめ……っ」