第六章
翳した左手の先に赤い光が宿っていき、ルーティはその様子を後ろから覗き込む。
「なっ何を……」
「リンク。繋げるんだよ」
クレイジーはルーティを横目に、
「パソコンを立ち上げたら、直後にサイトが開くわけじゃないだろ? 今ここは、何処にも行こうとしていない待機画面」
なるほど。
つまり此方から何もしない限り、この闇は永遠と続くのだと。それは少し厄介だ。
「じゃあっ」
ルーティが言うよりも先に、
「分かってるよ。初めからそうするつもりだったし。……それに」
クレイジーはそこで口を閉ざした。
沈黙の中、クレイジーの左手から赤い光が放たれる。闇に落ちたそれは遠くの方で弾けて煌めき、辺りを真っ白に染め上げて。
息をするのもままならない、強い風が吹き抜ける。ルーティは思わず強く瞼を瞑り、クレイジーの服の裾を力一杯握った。