第六章



翳した左手の先に赤い光が宿っていき、ルーティはその様子を後ろから覗き込む。

「なっ何を……」
「リンク。繋げるんだよ」

クレイジーはルーティを横目に、

「パソコンを立ち上げたら、直後にサイトが開くわけじゃないだろ? 今ここは、何処にも行こうとしていない待機画面」

なるほど。

つまり此方から何もしない限り、この闇は永遠と続くのだと。それは少し厄介だ。

「じゃあっ」

ルーティが言うよりも先に、

「分かってるよ。初めからそうするつもりだったし。……それに」

クレイジーはそこで口を閉ざした。

沈黙の中、クレイジーの左手から赤い光が放たれる。闇に落ちたそれは遠くの方で弾けて煌めき、辺りを真っ白に染め上げて。

息をするのもままならない、強い風が吹き抜ける。ルーティは思わず強く瞼を瞑り、クレイジーの服の裾を力一杯握った。
 
 
49/54ページ
スキ