第六章
「ななななっ、何なのぉぉお!?」
落ちた穴の先はひたすらに真っ暗闇で、何処に辿り着く気配もない。耳を劈くあの酷い音はもう聞こえないものの、これは。
「くっ!」
考えることは同じだった。
ルーティとネロは同時に真下に向かって手を翳し、それぞれ青い稲妻と赤い炎を放つ。しかし、何処かに直撃することもなく、双方闇の中へ消えて。
「ユウ! 超能力で止めらんねーのか!」
声を上げるネロに、
「出来るなら既にやっている」
腕を組んだまま逆さまに墜落していく、諦めムードのユウ。ネロは苛立ちながら、
「ユウ!」
「五月蝿いなあ、ほんと」
現れたのはクレイジーである。
「クレイジー!?」
まさか追ってくるとは。
思わず声を上げたルーティをクレイジーは鬱陶しそうにしていたが、息を吐き出し。
「いいから。……掴まって」