第六章
――不意にベンゼルが、にやりと笑った。
「ふふ……っふ……」
ベンゼルの体は不自然にかたかたと音を立てて、震えだした。額に空いた穴から少しずつ黒い煙が漏れ出してきたかと思うと、それは唐突に噴出して。
同時に大音量で酷い音色が室内に反響して響き渡り、ルーティは思わず耳を塞ぐ。
「いっ……な、何、これ……!」
その音を耳にしてすぐ、頭がずきずきと痛んで。マスターとクレイジーは今一度強く手を握り合い、青紫色のバリアを作り出す。その範囲は広く、ルーティ達も囲んで。
「あ、れ」
途端に音がシャットアウトされたので、ルーティは恐る恐る耳から手を離す。
「何で……音が……」
「消えたな」
「ユウ! ルーティ殿!」
とりあえず散り散りになっていた所を一点に集まり、今の状況を纏めようとしたが刹那、クレイジーが呻き、跪いて。