第六章



ベンゼルは華麗に宙を舞った後、地面に着地する。直後、正面の地面が抉れ、割れると瓦礫が顔を出してベンゼルを襲い。

しかし、瓦礫はベンゼルを覆うバリアに追突。突き破ることは敵わず、ベンゼルもその場から動かずに目を見張って。

「抜かったな。ベンゼル」

マスターは口元に笑みを浮かべた。

――すると、その瓦礫の先端にぼんやりと赤い光が灯り。ベンゼルは目を開くも、直後、先端から赤い光線が打ち出されて。

光線はバリアを打ち砕き、ベンゼルの額から後頭部にかけてを貫いて。間を空けず、瓦礫がベンゼルの腹を貫通して追撃。

「っ酷い……」

敵なのに、リムの口からは思わずそんな台詞が零れて。しかし、敵だからこそ容赦ない攻撃の連続は、確かに残酷だった。

誰もが言葉を失い、音が止む。

瓦礫によって突き上げられたベンゼルは、目を開いたまま宙吊りの状態で。
 
 
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