第六章



マスターの隣にクレイジーが並び、手を繋ぐ。ルーティが駆け出そうとするも。

「待て」

ユウが腕を掴み、止めて。

やがてマスターの瞳には青白い光、クレイジーの瞳には赤黒い光が宿り。刹那、ベンゼルは目の色を変えて駆け出す。

「きゃっ」

足下がぐらつき、跪くリム。

マスターとクレイジーは何も攻撃を仕掛けていないというのに、ベンゼルは地面を強く蹴って高く飛び上がり、空中で身を翻して。その際、何故か地面が揺れ動き。

「な、何……っ?」

ルーティも思わず、地面に手を付いて。

ベンゼルはマスターとクレイジーに攻撃を仕掛けないまま、まるで何かを躱すように動き続けている――あれは、一体。

「速いな」

ぽつり、とユウが呟いた。

ルーティは怪訝そうにユウを見つめた後、立ち上がりながらよく目を凝らして。
 
 
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