第一章



「……ぁ」

目を見開き、小さく声を洩らしたのも束の間、ダークルカリオは口端を吊り上げて不適な笑みを浮かべると、光の宿っていない赤黒い瞳でじっと覗き込みながら。

「いいなあ、その目。……可愛い」

ぽつりとそう告げて、人差し指と中指を一気に押し込む。結膜を爪で裂き、鮮血が溢れるのも構わず眼球を抉り出す。

「あぐう……っあ……!」

二度目となれば思うように声も出ず、意識も朦朧として。すると、程無くしてダークミュウツーはダークファルコを解放し、その途端地面に倒れるダークファルコの腰に跨がる。力が入らないことをいいことに。

首を絞めるべく、首筋に両手を添えて。

「っや」

スピカは己の手を引く何者かの手を振りほどくと、直ぐ様引き返した。

ダークファルコを救いたい一心で手を伸ばす。しかし、スピカの行く手は遮られて。
 
 
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