第六章
「己の悪事を止めてほしいか」
「とんだ解釈だ。神の力にそれでも抗おうとする、人間の意地が面白いというのに」
次の瞬間、ベンゼルの足元から瓦礫が突き出てきて。間一髪、ベンゼルは振り向きながら躱し、続いて突き出てきた瓦礫をバク転で後方に退避しながら、追うように突き出てくる瓦礫を舞うように躱し続けて。
「――これだから人間は」
最後、高く突き出てきた瓦礫の上に華麗に着地し、目を細めて言葉を吐き捨てる。
するとベンゼルの乗っていた瓦礫が崩れ、ベンゼルは真っ逆さま。マスターが指を鳴らすと、瓦礫がベンゼルを囲うように突き出てきて、直後、勢いよく挟んで。
「……やれ。また勘に障ったか」
ベンゼルは瓦礫の後ろから現れると、瓦礫に片手を付きながらマスターを見つめて。
「逆鱗に触れるのが好きだな」
マスターは笑った。