第六章



つまりこいつは。

ただの娯楽の為にダークスコアを使って人間に絶望を与え、嘲笑い、その隙に暇を持て余した神に媚びを売って、世界を。


――自分の、思うがままに。


「おっと」

リムの回し蹴りをすんでのところで躱し、ベンゼルはその場から離れて。刹那、背後に気配を感じるも動かないまま。

「同意出来ないな」

ベンゼルと背中合わせに立っていたのは、マスターである。マスターは続けて。

「お前に手を貸してやるつもりはない」
「……理由を訊こう」

ベンゼルは不満げに目を細める。

「確かに、口出す人間がいないという状況は面白い……が、何の苦労もなくただ理想を組み立てることが出来るというのは」

マスターはベンゼルを横目に、

「つまらない」

ベンゼルはふと、周囲に目を配って。

構えるネロやルーティを目にそれとなく理解したのか、ふっと笑みを溢す。
 
 
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