第六章



ネロは拳を引くと、回し蹴りを仕掛けて。

しかしベンゼルは掻き消すようにその場から姿を消してしまうと、先程の突き出た瓦礫の上に立っていて。かくんと首を傾けては挑発するベンゼルに、ネロは舌打ち。

「破壊神の力で不要な物を壊し」

そう話しながら、背後から蹴りかかってきたユウの攻撃をひらりと躱し、

「創造神の力で理想を造り上げる」

次いで側面からのリオンの拳を受け止め、

「愚かな人間共には覚めない悪夢を」

受け流しつつ、回し蹴りで追撃。

「神がどう世界を弄ぼうが、とやかく言う人間は存在しない。恐怖に怯え、泣き叫び、逃げ惑うよりよっぽど静かだろう」

正面から向かってきたルーティの拳を躱し、手首を掴んで引き寄せる。くすっと小さく笑みを溢し、耳元に唇を寄せて。

「違うか……?」

低く、しかし楽しげな声音で囁く。
 
 
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