第六章
ベンゼルは思いの外広い研究室をくるくると見回しながら、ゆっくりと歩を進めて。
マスターとクレイジーが手を離すと、途端に辺りを囲っていたバリアはひび割れ、硝子が割れたような音を響かせると同時に弾け、破片は光となって消えてしまい。
「クレイジー。よせ」
殺気を剥き出しにするクレイジーを宥めるように、マスターは肩の上に手を置く。
すっと前に出てきて。
「用件を聞こう」
ベンゼルはぴたりと足を止めた。
じっと見据えたマスターの瞳には、青い光が宿っている。警戒のサイン。ベンゼルも、これ以上の接近は危険だと判断して。
「創造神、マスターハンド」
敬意のつもりだろうか。ベンゼルは目を細めてその場に跪き、胸に手を置いて。
「御逢い出来て光栄です」
「自分から来たくせに」
横から口を挟むのはクレイジーである。
とりあえず、今は戦っている場合ではなさそうだ。ルーティは短く息を吐き出して。