第六章
バァン!
これは、マスターとクレイジーが攻撃を仕掛けた音ではない。ルーティは大きな音がした方向へ、ゆっくりと顔を向けて。
見れば、この研究室の入り口の扉が壁ごと吹き飛ばされ、砂埃を立ち込めているのだ。これにはさすがのマスターとクレイジーも顔を見合せて、地面に着地。
「変だな」
「変だねぇ」
マスターとクレイジーは口々に。
「招待状を寄越した覚えは」
「ないんだけど……?」
やがて砂埃が晴れると、そこには一人の青年が立っていた。ぼろぼろの黒の衣服を身に纏った上に色黒で、長い白髪が際立つ。
その青年はにやり、と笑って。
「やれ。神様はご立腹かな?」
ルーティははっと目を開いた。
最初、この研究室に来た時、モニターに映し出されていた。――この男は、まさか。
「ベンゼル……!?」