第六章
小さく呻き声を洩らし、腕を立てて起き上がろうとするマスターだが、途端に腕にびりびりと電気が走る感覚が襲い、力が抜けて。がくん、と地面に横たわる。
「っ……何だよ、これ……」
クレイジーも同じく上手く起き上がれないのか、顔を顰めて呟く。
マスターは何とか顔を上げると、ルーティを睨み付けて。――先程の蹴りで電気を此方の体内に流し込み、遠隔操作している。
自分にやったように筋肉を自在に伸縮させ、此方の動きを奪ったというわけだ。
「電気、鼠め……っ!」
今まさに腕の表面を青い稲妻が駆けるのを見て、マスターは苛立ちに愚痴を溢した。
やがて――マスターの瞳には青の、クレイジーの瞳には赤の光が宿り、微かに震えながらそれぞれの右手、左手を伸ばすとその先にあった互いの手を強く握り合って。
「っ……殺気」
ルーティはぽつり、目を見張った。
途端に彼らの半径二メートル程の範囲の地面が抉れ、二人の体は手を繋いだままゆっくりと浮遊して事実上、体を起こして。
ただならぬ空気にルーティは思わず、たじろぐ。……今までのは序曲に過ぎない。
これからが本当の――