第六章
横たわるルーティ。その姿を存分に目に焼き付けた後、背中を向けるクレイジー。
「意外と呆気なかったな」
「仕方ないよ、兄さん。……所詮人間は」
クレイジーはマスターの元へ向かうと、交えるように手を打っては目を細める。
「神の力の前に、屈服するだけの無力な」
突如、マスターは目を開いて。
「存在――」
「クレイジー!」
焦りを含んだ声に振り返ってみると、すぐそこまでルーティは迫ってきていた。
全身に青い稲妻を纏い、絶え間無く走らせながら。あまりにも不意討ちすぎる接近に、マスターとクレイジーは隙だらけで。
「無力かどうかはっ」
ルーティは渾身の力を振り絞り、二人を巻き込むようにして回し蹴りを喰らわせる。
「終わってから決めてよね!」
受け身も取れないまま、その攻撃をまともに喰らったマスターとクレイジーは同じ方角に蹴り飛ばされ、転がって。
ルーティは両膝に手を付くと、息を弾ませながら遠く飛ばされた二人を睨み付ける。
「どうだっ……!」