「ぅぐっ……」

脇腹に蹴りが入ったが、同時に体を反らした為ある程度軽減はした。切り返すべく、ルーティも回し蹴りを仕掛けて。

「っと」

しかしクレイジーは身を屈めて躱すと、地面に左手を宛がった。途端に半径一メートル程の範囲の地面が罅割れ、罅から赤い光が洩れる。ルーティはすかさず、後退。

直後、クレイジーの半径一メートル以内の地面が抉れ、赤い光の灯った破片がゆっくりと浮かび上がり、ルーティを襲った。

さすがに数が多い――避けきれないと見たルーティはぐっと歯を食い縛り。

間もなく大量の破片がルーティを襲い、幾つかは勢いよく地面に刺さって砂埃を巻き上げた。クレイジーは立ち上がって。

「終わり、かな」

彼が立ち上がり、向かってくる可能性も視野に入れてじっと砂埃を見つめていると、砂埃はじわじわと晴れていき、そして。

「ルーティ！」

ユウは思わず、その名を呼んで。