第六章
「かはっ!」
見えない波動によって弾かれ、数メートル先まで飛ばされたルーティだったが、くるんと宙で後転、足の裏を擦りながら砂埃を巻き上げ、何とか踏み留まって。
「っ、く……」
それでも身体能力の引き上げによる負担が酷く、ルーティはその場に跪いた。
ばちっ、と少量の電気が頬を走り、息を弾ませながら立ち上がる。口端から垂れる鮮血を手の甲で拭い、顔を上げて。
「やっぱり、まだまだ子供だねぇ」
クレイジーはくすくすと笑いながら、隣に並んだマスターの肩の上に左肘を乗せる。
「弱い癖に諦めが悪い。……全く」
刹那、すっと目の色を変えて。
「うざったい奴」
――もう、電気による身体能力の引き上げは敵わないだろう。ルーティは己の手を広げて見つめ、ぐっと拳を握って。
だが、相手も考えることは同じだ。此方の体力が消耗している今、積極的に仕掛けてくるはず。……そこを上手く切り返せば。