第六章



刹那、体に電気を纏ったままルーティが駆け出した。踏み込んだ地面には黒焦げた跡が残り、微かに電気が残って。

「そう来なくっちゃ」

クレイジーは舌舐めずりをして、地面を拳で強く殴り付ける。直後、地面は抉れてクレイジーの前に大きな壁を造り上げる。

ルーティは走りながら自分の真下に電気を放つと、反動で宙を舞って。造り上げられた壁の天辺に着地し、飛び降りる。

しかし、マスターが指を鳴らすとクレイジーが造り上げた壁に青白い光が走り、ルーティを遮るようにしてクレイジーの真上、壁から垂直に瓦礫が生成されて。

「まだだ」

ルーティが生成された瓦礫の上に着地すると、マスターは右目に青い光を宿した。

するとルーティの両側に新たな瓦礫が生成され、勢いよく閉じて。ルーティは寸前に飛び上がり、閉じた瓦礫の上に着地。

「速いね」
「ああ。……電気で筋肉を自在に伸縮させ、一時的に身体能力を引き上げている」

ルーティの体が、ふらりと揺らぐ。

「だが」

クレイジーはマスターと肩を並べ、手を繋いだ。間もなく、ルーティは飛び降りて。

「所詮は一人だ」
 
 
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