「あぐっ！」

青い光を背中に叩き付けられた途端、ルーティの体はいとも簡単に数メートル先まで弾き飛ばされてしまい。何度か地面を引き摺った後、ルーティは地面に横たわって。

「ぅ……けほ……」

ルーティは腕を立てて上体を起こすと、小さく咳き込んで。幸いにも傷は目立たない程に浅く、ルーティは立ち上がる。

「っは。まさかそれで終わりなわけ？」

嘲るように笑うクレイジーは腰に左手を当て、かくんと小首を傾げてわざとらしく。

「手加減しても、いいんだよ？」

前回とは違い、最初から魔法を多用してくる。ならば尚更どんな術を使うか確認しておきたかったが、そんな暇もない。

「遠慮しておく」

はっきりとそう答えたルーティの目付きが、鋭く変わる。ばちばち、と電気の擦れる音が、次第に大きく響いていく。

「クレイジー」

真っ先に危険を感知したのはマスターである。名を呼び、ルーティを見据えて。

「――来るぞ」