第六章



ルーティが構えると、初めにクレイジーが駆け出してきた。左腕に赤い光を宿し、薙ぎ払う。光は分離して幾つかの刃に変化すると、ルーティを襲って。

「くっ」

初っぱなから電撃で対抗してもいいが、ここは様子を見たい。ルーティは前に駆け出すと刃が触れる直前で地面を強く蹴り、クレイジーもろとも刃を飛び越えて。

宙で華麗に前転しつつ着地すると、前方からマスターが迫ってきていた。構えた右手には青い光が不気味に渦を巻いていて。

ルーティは上手くマスターの右手首を掴み、後ろへ受け流しつつ回り込む。しかし、マスターと入れ替わるようにクレイジーがすぐそこまで迫ってきていて。

「っ……!」

左手にはマスターと同じように赤い光が渦を巻いていたので、まともに受けるわけにはいかず、突き出してきたと同時にルーティは体を大きく後ろへ反らし、回避。

――刹那、クレイジーの姿がふっと掻き消すように消えた。この攻撃こそが隙を作る為の罠だと気付き、ルーティは目を開く。

「遅い」

一言。そう告げたマスターが既に回り込み、右手の中で渦巻いていた青い光を、容赦なくルーティの背中に叩き付けた。
 
 
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