第六章
「その目だ」
ぽつりとマスターは口を開いた。ルーティは自分のことだと気付くと、怪訝そうに。
「……目?」
「そうだ。強い意志を秘めた、真っ直ぐな目をしている……あいつと同じ」
クレイジーは目を細め、続ける。
「ラディス・フォン」
ルーティははっと目を開いた。――ここで自分の父親の名が上がるとは当然、思ってもみなかったことなのだ。
ラディスは過去、マスターとクレイジーとの激闘の末、結合し、暴走した二人を止める為に己の全てを賭け、絶命した。
偽の記憶により本来の姿を知らずにいたが、今は誇りある父だ。……彼の魂は。
強い意志となり、息子に引き継がれた――
「あの日も同じ目をしていた」
覚えている。記憶を取り戻す前、彼ら二人と戦い、負けてしまった苦々しい過去を。
ルーティは密かに強く拳を握って。