第六章



しかし、ユウが留めるように腕を伸ばし遮って。ネロは思わず、ユウを睨み付ける。

「てめえっ」
「だが、ホーリィスコアに興味はあると」

――確かに、彼はあの時“いいだろう”と答えた。此方の交換条件とは別に、ホーリィスコアは造るつもりだったのだろう。

マスターは短く息を吐き出すと、クレイジーに目を向けて。顎で何やら指し示し、先にホールの真ん中へと歩き出す。

「……来な」
「えっ」

クレイジーに言われるがまま、ルーティは後をついていき。やがて真ん中へ辿り着くと、マスターとクレイジーは肩を並べて。

「タブーを返してもらったから、ホーリィスコアを造る。そんな淡々と事が運ばれては、神様だって欠伸が出るだろう?」

マスターはふっと笑みを溢し、クレイジーと手を繋いだ。――と、次の瞬間。


パキィ!


「なっ」

半径十メートル程だろうか。

マスターとクレイジーを中心にして、円を描くように巨大な赤紫色のバリアが、侵入を阻むように大きく囲んだのだ。
 
 
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