第六章
「次は此方の要望を聞き入れる番よ」
リムが一歩前に踏み出す。……ところが。
「抜かしてくれるな」
マスターはふっと笑みを溢して。それまで少し離れた位置にいたルーティもはっと顔を上げ、マスターに注目する。
「どういうことよ……」
マスターはわざとらしく小首を傾げた。
「惚けないで! タブーを返す代わりに、貴方はホーリィスコアを」
「都合のいい解釈はやめてもらおう」
リムは思わず、口を閉じて。
「貴様らは此方が条件を呑んだと先走り、タブーを寄越した。だが、此方側はまだ一言も、条件を呑むとは言ってないだろう」
マスターは不適な笑みを浮かべ。
「違うか?」
――こんなのは卑怯だ。
眉を顰めたのはもちろん、ルーティだけではなく。すかさず、ネロが動いた。