第六章
言い付け通りに近付いてみると、モニターの映像がはっきりと見えて。ルーティはマスターの隣まで来ると、はっと目を開き。
「これって……」
モニターには世界各地の映像が映し出されていた。マスターがキーボードを叩くと、映像の上に資料が幾つか映し出されて。
「首謀者は悪魔、ベンゼル。現在はダークトゥーンの体に憑依し、行動している」
その資料の上に映し出されたのは白銀で長髪の青年。ルーティはぽつりと口を開く。
「彼が……ベンゼル……」
もっとおっかない顔をしているのかと思った。ベンゼルの容姿はルーティの想像と程遠く、あどけなさを感じさせて。
「奴の本来の肉体だが、既に死滅している可能性が高い。ダークトゥーンに憑いているのは、恐らく亡霊のようなものだろう」
「だったらそいつを追い出して」
ネロは思いついたようにそうは言ってみたが、すぐに口を閉じて。――取り憑く肉体なんて、今は何処にでもある。
それに、ベンゼルを仕留めたからってそれが解決策に繋がるとは限らないのだ。
ルーティは眉を顰めて。