第六章
「クレイジー。彼らを第五研究室へ」
「兄さん!」
突然の言い付けにクレイジーは納得がいかなかったものの、それ以降応えなくなったマスターに溜め息を吐き出して。
「……ついてきな」
クレイジーは振り向いてルーティを横切ると、そのまま先頭に立って歩き出した。
――此方の事情を知っている。ルーティはリムの顔を見合せ、共に頷くと逸れてしまわぬようにクレイジーの後を追った。
「此処だよ」
目的の第五研究室、という場所はクレイジーと鉢合わせした所よりもそれほど遠くはなく、クレイジーは扉を押し開いて。
ルーティは目を丸くした。研究室、というからには狭くて薬品の匂いがぷんぷんしているのかと思いきや、ここは。
「すげ……」
扉の奥は大ホールだった。ホールの端には大きな円柱の筒が幾つも並べられていて、透明な硝子の奥には不気味な緑色の液体。
よく分からない機械は端に寄せられていて、とにかく中心部には何も無い状態。
ネロもぽつりと口を開いては辺りを見回していたが、小さなモニターの前に添えられた機械の前に立つ青年に、目を凝らして。