第六章
「……もう一つだけ、いいかな」
ルーティはちらりと尻目でリオンの姿を捉え、やや遠慮がちに訊ねる。
「答えたくなかったらいいんだけど……どうやって、悪夢の中から抜け出せたの?」
今度こそ、リオンは口を閉ざしてしまった。ルーティははっと青ざめて振り返り、
「だっだから無理して答えなくても」
「いや、そういうわけじゃない」
リオンは意外にもきょとんとしていて。
「これに関してはさっきも言ったからな」
――私には悪夢なんかより、ユウからの仕置きの方が刺激が強くて飽きないのだよ。
リオンの台詞が脳内で再生される。
「……過去の後悔も、未来への不安も。全部受け止めて今があるんだ。塞ぎ込む必要はない。皆がいる。――そうだろう?」
リオンは微笑を浮かべて。