第六章
程無くして巨大研究施設の前まで辿り着くと、ルーティは意を決してドアノブに手を掛けた。ギィ、と不気味に軋む音を上げながら、ゆっくりと扉が開かれる――
「防犯システムとかねえのかよ」
ネロの言う通り。神にとって一般人の出入りは、それほど苦にはならないのだろう。
外見は真っ黒だったというのに中身は対照的に真っ白。堅苦しい近未来的デザインは、まさしく研究施設といったところで。
「オセロみてえだな」
「せめて囲碁にしてちょうだい」
緊張感は何処へやら、ネロとリムはこの調子である。通路は暫く一方通行のようなので、ルーティは先頭を歩き始めて。
「――ねえ、リオン」
不意にルーティは後ろを歩いていたリオンに声をかけた。彼について、どうしても気になることがあったからである。