第六章
◆第六章『創造と破壊』
暫くして、ユウに背負われていたタブーがゆっくりと顔を上げ、前方を指差した。
「……あれかな」
その先には、黒塗りの巨大研究施設。
あの時はそこに辿り着く前に捕らえられ、全貌を目にする前に脱出してしまったので、言ってしまえば初見である。
「信用していいのかよ」
「分からない」
仮でも敵であるタブーの言うことをあまり信用したくないのか、ネロは不服そうである。ルーティは首を横に振って。
「……でも、そうする他ないよ」
ここで迷っていては、いずれダークシャドウに見つかってしまう。じっとしてるより、嘘でも身を任せた方が賢い。
「ちっ」
ネロは舌打ちすると、ジャケットのポケットに手を突っ込んだまま歩き出して。
「気を悪くしないでね」
リムは苦笑を浮かべながら、
「彼なりに心配してくれてるのよ」