第五章
「タブー!?」
ルーティは慌てて駆け寄り、タブーの顔を覗き込む。――顔色が悪い。少し汗ばんでいて、呼吸も何処か辛そうだ。
「魔力の消費が激しかったからな」
ユウはタブーの傍らに跪き、額にそっと触れて。ルーティは眉を顰めた。
そういえば、以前タブーが“OFF波動”を使った時、マスターがあまり使わせるなと叱っていた。……そういうことだったのか。
「ユウ」
「変わらない。さすがに特殊らしいな」
ユウは試しに己の魔力を分け与えてみたようだったが、タブーの様子は変わらず。
「仕方ない」
やむを得ず、ユウはタブーを背負って。
「どやされるぞ」
「さあな」
ネロの言葉にユウはふっと笑って。
「全ては神の思し召し次第だ」
――もう少しだ。
後もう少しで、この悪夢を終わらせることが出来る。そう信じて踏み出した彼らの心は、あまりにも純粋すぎたのだった。