第五章
「っ逃がすな!」
ようやく立ち上がれたリンク、少し咳き込みながらも剣を抜き、声を荒げる。
「殺せ!」
――恐ろしいほどの殺気だ。
タブーはルーティの服の裾を掴み、翼を目一杯広げた。リムはその辺に落ちていた本を拾い上げ、本棚に投げつける。
「生意気……!」
それが物凄い速度だったので本棚は砕け、ダークピチューの進路を妨害。次いでルーティは蛍光灯に向かって稲妻を放つ。
「わっ、てめ!」
蛍光灯は割れ、破片が床に散らばってダークフォックスの行く手を遮る。
間もなく、翼は全員を包み込んだ。直前でネロが炎の玉を目の前に放ち、ゲムヲとロボットは立ち竦む。――そして。
ぼふんっ
炎の玉は決して弾けることなく、黒焦げて床に落ちた。その隙にタブーは五人を包み込んだまま、目映い光を放ち、消えて。
「……くそっ」
苛立ったリンクが、床を強く踏みつけた。