第五章



「リオンが!」

駆け出そうとしたリムを、ユウが睨んで留める。今、タブーより前に出てしまえば、途端に奇怪なメロディの餌食だ。

「でもっ」

リムは心配そうにユウを見遣るが、肝心のユウときたら焦っている様子もなく。

「てめえのパートナーだろ!」

ユウの胸ぐらに掴みかかるネロ。

いつも、彼がリオンに対して厳しい態度だということは知っていた。それにしても、リオンは危険に晒されてるというのに。

「くっ」

リオンは現在、耳が塞げない。

それもダークフォックスに両手を後ろで拘束されているからだ。……ならば今、稲妻を放ってダークフォックスに攻撃を――

「ルーティ」

ところがユウ、ルーティを呼び止めて。

「何も手を出すな」
「ユウ!」

殴られたいのかとばかりに詰め寄るネロに、ユウはふいと目を逸らしてしまい。
 
 
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