第五章
そんなのは知っている。それでも、逃げ回っているだけでは埒が明かないんだ。
「何を考えているのやら」
リンクははっと笑って、
「俺が言いたいのはこっちなんだがねぇ」
親指で、後ろを指す。
「リオン……」
ぽつりと呟く、ユウ。
そこには、床に突っ伏すようにして倒れているぼろぼろのリオンと、傍らにはダークフォックス、ダークピチューの姿が。
「ほぅら。立てよ」
ダークフォックスはリオンの髪を掴み、無理矢理引っ張り起こしてから両手を後ろで拘束すると、にやにやと笑いながら。
「どうするぅ? 攻撃すっのかぁ?」
――やられた。
ダークピチューはリオンの首筋に片手を宛がい、黒い稲妻を走らせる。
動けば、リオンがどうなるか。ルーティはちらりと後ろのタブーを見遣る。
……此方も、まだ時間がかかりそうだ。