第五章



「っ……銃声」

黒煙の向こう側から聞こえてきた乾いた音に、ルーティは思わず眉を顰める。

「案ずるな。あれは私のパートナーだ」

ユウは心配する様子もなく、黒煙に背中を向けて。――次の瞬間、赤色の光線が黒煙の中からユウ目掛けて放たれた。

しかしその時、ユウは背中を向けていたにも関わらず、超能力で後ろに透明なバリアを張り、その光線に攻撃を防いで。

「……新手か」

再び、赤色の光線がユウを襲う。

ユウが振り向き際に片腕を薙ぎ払うと、赤色の光線は直前で左右に逸れて。

しかし、攻撃で返そうにも方向が分からない。そこで舌打ちして前に出たネロ、何をするつもりか片手を前に突き出して。

「ネロ!」
「るっせえ! 黙って見てろ!」

炎を放つつもりだろうか。

不安が募り、名を呼ぶリムに思わず声を荒げて、ネロは黒煙を睨み付ける。
 
 
17/33ページ
スキ