第五章



「生意気なっ」

ダークピチューが片手を翳してきたので、ネロは対抗するべく両手を前へ突き出す。

「馬鹿っ! 駄目に決まってるでしょ!」

リムが止めに入った。

こんな所で火を放てば周りにある物が燃え、残った人間まで焼き払ってしまう……

「だからって!」
「少しは考えたらどうだ」

ユウはネロの前にすっと出てくると、刹那、放たれた黒い稲妻を前に瞼を閉じて。

「つまらない芸だな」

次に瞼を開いた時、確かに紫色だった瞳は金色に変化していて。ユウの目の前で黒い稲妻は左右に割るようにして逸れ、近くの本棚に衝突……黒煙が辺りに広がる。

「っ、てめ、敵が見えねえだろ!」
「無計画な貴様と一緒にするな」

咳き込み、きっと睨み付けるネロだったが、ユウは腕を組み、相変わらずの態度で。

「既に手は打ってある」
 
 
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