第一章
◆第一章『悪魔の足音』
ここは、天空大都市レイアーゼの街中にある図書館。読みにくいような辞書だけでなく、挿し絵付きの小説から一国の歴史を綴った資料まで、何でも揃っている。
「うえー……こういうとこ、苦手」
露骨に嫌そうな顔をしては呟くのは、前作に続いての主人公、ルーティ・フォン。
一見すると年端の行かない少年だが、彼はこれでもレイアーゼの誇る特殊防衛部隊、X部隊のリーダーを勤めているのだ。
そんな彼がここに来ているのは。
「駄目よ、ルーティ。リーダーなんだから、たまには勉強もしとかなきゃ」
今回の物語で重要な人物である、リム・ライトネルに連れてこられたからである。
リムはルーティの手を引きながら図書館に入ると、とある本棚の前に立っては手を離し、赤い表紙の本を手に取って。