第五章
話に入ってきたのはユウである。
「でも……それって確か、音を伸ばす。或いは休符についている場合、適当な長さで休むって意味じゃなかった?」
全文を軽く読み流しながら、リムが返す。
「それは現代での話だ。古い時代では、楽曲の終わりを示す記号としても使われていたらしい。……つまり、だ」
ユウは続ける。
「もう一つの楽譜の効果で、ベンゼルはフェルマータとしてダークスコアに封じられ、楽曲に終止符を打った……」
リムがはっと顔を上げて。
「それを……私やダークシャドウが別の意味に捉えて、曲の続きを……だから、ベンゼルは解放されてしまったのね?」
誤って、命を吹き込んでしまった――
「えーと」
賢い二人だからこそ話が進んでいるのだろうが、ルーティにとっては理解が難しく。
「とっとりあえず……もう一枚の楽譜が再びベンゼルを封じる為の鍵を握ってるってことで……いいんだよ、ね?」