第五章
図書館……といえば昨日来たばかりだ。
あの時見つけた黒い楽譜が“ダークスコア”だったとしたら――いや、考えていても切りがない。今は手掛かりを探そう。
「楽譜、楽譜……っと」
ネロは独り言を呟きながら、本棚の前に立ってそれらしい本を探している。
ルーティもリムの隣に並ぶと、一冊の本を手に取って。……違う。一目でそう思って、その本はすぐに並んでいた所へ戻した。
「どうしたの?」
一瞬、ぴりぴりとした妙な感覚がして、ルーティは辺りを見回す。小首を傾げるリムに、ルーティは「ううん」と返して。
――今、確かに視線を感じた。
「リム殿。この本はどうだろうか」
不意に現れたリオンが差し出したのは、『旋律の神話』と表紙に記された、少し黄ばんだ古い本。リムはそれを手に取って。