第五章
「わっ」
それはほぼ一瞬の出来事だった。
タブーが翼を広げると同時に包み込んでいた光は弾けて、気が付くともうそこは沢山の本棚が並んだ、図書館の中だったのだ。
「だいじょうぶ?」
「あ……えっと、大丈夫」
「そう」
タブーは己の翼を背中に仕舞ってしまうと、ルーティの無事を確認。微笑んで。
「きゃっ」
突然、リムが短く悲鳴を上げた。
数歩先を歩いて口元を両手で覆い、固まっているリムの元へルーティが急ぐと。
「っ……これって」
机に突っ伏している者もいれば、本棚に寄りかかったまま床に座り込んだ者、床に仰向けになって倒れている者もいた。
生きているのだろうか。いや、魂を抜かれているらしいのだから、或いは……
「急ごう」
ユウは眉を顰めて。
「時間が無い」