第五章
徐々にタブーの体を薄紫色の光が纏っていく。ルーティはその様子を見守って。
刹那、いつか見たような基調は極彩色だが全体的に色が薄い、巨大で特殊な形をした翼がタブーの背中に広がった。
準備完了、タブーが手招きをするのでルーティは一緒に図書館へ向かう者と共に、タブーに出来る限り近付いて。
「ルー」
スピカの呼び声に、ルーティは振り返る。
「……早めに済ませろよ!」
「ん、分かってる」
「それと」
スピカは後ろ頭を掻きながらそっぽを向いていたが、遂に背中を向けてしまうと。
「遅かったら……殺す」
物騒な。照れ隠しだと信じたい。
ルーティが苦笑を浮かべていると、タブーは図書館へ向かう者をまとめて翼で包み込み、やがてそれは青紫色の光に包まれ……
そして。徐々に収縮していき、最後にはぽんっと白い煙を残して消えてしまった。