第四章



「ピチカ……」

心配そうに見つめるリム。

発見当時のピチカの様子を思い出すと、胸が辛くなる。パートナーとして、彼女にはあまり無理をさせたくないところ。

「大丈夫だよ」

ピチカはスピカの胸をそっと押して離れると、微笑を浮かべて。しかし、やはりあまり思い出したくないのか、俯いてしまい。

「いいのよ、ピチカ」

リムはピチカの元へ歩み寄ると、優しく頭を撫でて。小さく頷き、ピチカはスピカの服の裾をきゅっと掴んで擦り寄る。

「全ての原因が“ダークスコア”にあることは分かっているもの。まずはそれをどうにかする……対抗策を」
「つっても、敵が持ってんだろ?」

ファルコが遮ると、リムは頷いて。


――“ダークスコア”に記された通りに奏でることで、ベンゼルは人に悪夢を見せたり、操ることが出来る。

ならばすぐにでも取り上げて破り捨ててしまいたいが、そう簡単にはいかない。

ここで詰んだか……
 
 
40/43ページ
スキ