第四章
「っ、寄るな!」
不意に脳裏を掠める、先程の出来事がスピカを苛立たせる。声を上げると同時に指を鳴らすと、ユウ目掛けて黒い稲妻が走り。
「ユウ!」
ドンキーが声を上げるのも束の間、稲妻はユウを逸れて廊下の壁を深く抉り。
「……無駄なことだ」
すっと顔を上げたユウの瞳には金色の光が宿っている。これは紛れもなく超能力……今のユウに、攻撃は通らない。
「っ……じゃあ」
スピカは攻撃を与えることを諦めたのか、ぐっと拳を握り締め、眉間に皺を寄せて。
「お前は俺をどうしたいんだよ! 意味が分からねえよっ……俺が何をしても無駄なのに、それなのに、あんな……っ」
遂にスピカは俯いてしまった。
ユウはその隙に早足で歩み寄り、スピカの目の前へ。スピカは更に拳を握り締め、ぎゅっと強く瞼を瞑って構えた。