第四章
「ちっ」
ファルコは舌打ちをし、壁の後ろへ。
「……お前、後何発だ」
同じく反対側の壁の後ろへ身を隠していたウルフに、ファルコは訊ねて。ウルフは弾を装填すると、ファルコを横目に。
「いちいち聞くな」
……この機嫌の悪さからして、ウルフもあまり余裕が無いらしい。ファルコも早々に装填を済ませると、壁から飛び出して。
「ったく!」
スピカ目掛けて銃を構え、引き金を引く。
「難易度高すぎだろっ!」
ユウがあれだけ突き放すような台詞を吐いていれば、スピカをどうしたいかくらいはお見通しだ。……とはいえ。
ターゲットに傷一つ付けずに捕獲、なんて高難易度すぎる。いや、確かに傷を付けてはいけないという決まりは無いが……それは己のルールに反する。
「撃て!」
銃声が鳴り響く。――彼ら二人共、それぞれの考えがあって傷付けたくないのだ。