第一章



突如聞こえてきた男の声に、ダークトゥーンははっと目を見開いた。見れば、楽譜には赤黒い光が怪しく灯っていて。

演奏を止めねば。

そう思った時にはもう遅く、楽譜から生えた白い手はそれぞれダークトゥーンの右手と左手を掴むと、無理矢理弾かせて。

「なっ……あ……!?」

繰り返される前奏。

次の瞬間、ダークトゥーンの耳に流れ込んできたのは美しい音色ではなく、痛ましい悲鳴。呻き声、叫び声……全てが狂おしい。ダークトゥーンは目を白黒させて。

止まらない演奏。やがて頭の中に流れ込んできたのは、人間がナイフに引き裂かれ、銃弾に撃ち抜かれる狂った光景。

「あぁ……っあ……ぁ……ぁぁ……」

ダークトゥーンは悟った。

この楽譜はただの楽譜ではない……ありとあらゆる生き物の霊魂を取り込み、弱味に付け込み悪夢を見せる、悪魔の宿った――
 
 
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