第四章
ぱんっ
それはリムがユウの頬を平手打ちした音だった。あれだけ好き放題言っていたのだから、こうなることは想定内で。
……しかし、やはり不意討ちなのでユウは一瞬だが目を開き。リムはそれまで俯いていたが、ゆっくりと顔を上げると。
「そんな言い方って、無いじゃない」
きっと睨み付けて。
「確かに今は敵よ。双方戦士として対立するべきよ。っでも!」
リムはユウの両肩を力強く掴むと、一度揺さぶって。ユウはリムを見据え。
「そうまでして私達、殺し合わなきゃいけないわけ!? 同情でもいい。スピカが大好きな家族を、その未来を奪うのも、そのまま消えて無くなるのをただじっと見つめているのも……私には出来ない」
リムは小さく首を横に振って。
「甘いわ。戦士としての自覚も、誇りも無いわけじゃない……っそれでも助けたいの! 駄目だなんて言わせないわ。……だって、そうでしょう?」
ぽろぽろと零れ落ちる涙。ずる、とリムはユウにすがるようにして、床に膝を付く。
「私達……お姉さんじゃない。一緒に育ってきた、兄弟も同然の仲じゃない……」