第四章
ルーティは壁に手を付きながらゆっくりと立ち上がると、ユウを見据えて。
「っ……そんなの」
拳を握り締め、眉間に皺を寄せると。
「出来るわけないじゃないか! スピカを……盾にする、なんて……」
それまではっきりと意味を理解してなかったフォックスとリオンは、共に唖然とし、言葉を失っていた。リムも口元を両手で覆い、「そんな」と一言呟いて。
「ユウ! 貴方よく平気で」
「じゃあ何を犠牲にすればいい? 仲間か?……考えてもみればおかしな話だ。スピカがダークシャドウのリーダーであることを望んだ以上、奴は敵。敵に情けをかける? 何の冗談だ。馬鹿らしい」
リムの台詞を遮るように、ユウは棘のある言い方で告げて。口を閉ざし、顔を俯かせたリムの表情に影が差す。
「大体、奴だっていつ私達を殺しにかかってくるかも分からないというのに」
「スピカがっ、そんなこと」
「どうして断言出来る。ただの七年しか共に過ごしていない……しかも今は敵である奴の考えが、お前に分かるはず」
「ユウ」