第四章



――十年もの間、ダークシャドウと過ごしてきたスピカ。その殆どの時間、スピカは記憶を封じ込まれていたが為に、彼らダークシャドウには冷たく接してきた。

それでも、ダークシャドウは文句を何一つ言わず、寧ろ本来のスピカに戻れるよう、サポートしてきたのだった。


マスターに生み出されたダークシャドウという、悪の存在である誇りさえも捨てて。

いや、彼らの場合、あの中で唯一人間であったスピカに別の何かを感じ取り、スピカの配下であることを寧ろ誇りにして今まで生きてきたのだろう。

相思相愛。双方はっきりと口には出さないが、もしも何か言い表さすとしたらその言い方が一番しっくりくる。


彼らは家族も同然の仲なのだ――


「スピカ……」

そんな思いを内に秘めていたなんて。

幼馴染みだから……そんな理由で、知っている気になっていた。ルーティは胸がズキンと痛み、一歩、踏み出す。
 
 
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