第四章
「ルー」
ふと、スピカは目を伏せて。
「俺はお前よりもずっと長い時間、あいつらと過ごしてきたんだ。……家族みたいなもんなんだよ。それなのに」
ぽろっとスピカの瞳から幾つかの雫がこぼれ落ちる。それが床に滴り、スピカは涙に濡れた瞳でルーティを睨み付けて。
「悪だからって! 仕方ないからって! それだけの理由でさも当然かのように! 殺せるわけ……ないだろ……っ!」
スピカは続けて。
「残酷すぎるだろ! それで喜ぶ奴らがいるなんて! 本当のこと、何も知らないくせにっ……それで良かったって。平和になるんだって、笑う奴がいて。そんなの」
再び顔を俯かせると、消え入りそうなくらい弱々しい声で最後にぽつりと。
「可哀想、じゃねえか……」